キラキラネーム、今や主流?=背景にネットや少子化-「日本語の宿命」指摘も

 大翔(たいが)、結月(ゆいる)、陽菜(はな)…。明治安田生命保険(東京)が毎年発表している赤ちゃんの名前ランキングで上位に入った名前と読み方の一例だ。一見して読むことができず、伝統的な名付けと異なる名前が、平成に入って増えてきたとされる。背景には何があるのか。専門家に話を聞いた。  「キラキラネームの大研究」著者で文筆家の伊東ひとみさん(61)によると、「キラキラネーム」と呼ばれる名前が増え始めたのは1990年代半ばごろから。ちょうどインターネットが普及し始め、難しい漢字も検索で手軽に調べられるようになってきた頃だ。  こうした名前には「読めない」「子どもがかわいそう」などのバッシングも出たが、伊東さんは「そもそも中国の文字である漢字で大和言葉を表そうとした時点で無理がある。音と文字がずれるのは日本語の宿命」と指摘する。「徳川家茂(いえもち)」のように、知らなければ読めない難読の名前は昔からあったというのだ。  キラキラネームとこれまでの難読名で決定的に違うのは「量」だと伊東さんは言う。「今やキラキラネームの方が主流で、それが普通になった」。大きな要因とみているのは、戦後の国語政策で使用できる漢字の数が制限されたことだ。漢字が平易化された時代に生まれ育った団塊ジュニア以降の世代が伝統的な漢字体系から脱し、より自由な名付けをするようになったという。  「親が子どもを大事に思う気持ちは昔も今も変わらない。少子化もあり、子どもにしてやれることは全てやってあげようとした結果なのだろう」と親の気持ちを推し量る。  一方で、ベネッセコーポレーションの「たまひよ」が2018年3月に実施した調査では、ここ数年キラキラネームを避けようとする親が多いという。明治安田生命保険によると、戦時中は「勇」「勝」などの名前が増え、改元直後には元号から1字を取った名前がランキング上位に入るなど、名付けは世相を反映する。伊東さんは今後について「揺り戻しもありつつ、微調整しながら進んでいくのではないか」との見方を示した。 ◇人気のあった名前の変遷  大正2年(1913)【男】(1)正二(2)茂(3)正雄(4)正(5)清【女】(1)正子(2)千代(3)静子(4)キヨ(5)文子  昭和2年(1927)【男】(1)昭二(2)昭(3)和夫(4)清(5)昭一【女】(1)和子(2)昭子(3)久子(4)照子(5)幸子  昭和19年(1944)【男】(1)勝(2)勇(3)勝利(4)進(5)勲【女】(1)和子(2)洋子(3)幸子(4)節子(5)勝子  平成2年(1990)【男】(1)翔太(2)拓也(3)健太(4)大樹(5)亮【女】(1)愛・彩(3)愛美(4)千尋(5)麻衣  平成29年(2017)【男】(1)悠真・悠人・陽翔(4)湊(5)蓮・蒼【女】(1)結菜・咲良(3)陽葵(4)莉子(5)芽依 ※明治安田生命保険調べ。 

[時事通信社]